経済同友会中央日本地区事務局長会議

民間組織「人口戦略会議」が4月24日に公表した報告書では、「消滅可能性自治体」が前回調査から約150自治体減りました。

その要因の一つは外国人住民の増加によるもので、自治体の持続可能性の見通しは10年前と同様に厳しい。

静岡県東部地域は首都圏まで新幹線で約1時間の快適通勤エリアで、転職することなく移住が可能なことから、首都圏からの移住者ニーズも年々高まってきて「移住希望」人気は4年連続トップです。

しかし、静岡県は全国に先行して人口が減少し、転出超過数は都道府県でワースト7位と他人ごとではありません。

県外への進学や就職といった「若者の人口流出」が主因で、特に若い女性の流出が止まらず、少子化につながっています。

人口減少社会において、これまで通りの行政サービスを維持していくためには、自治体間における広域連携は必要不可欠であり、各自治体の行政サービスを持続可能なものとしていくため、日常的に関わりの深い生活圏を中心とする圏域内で、周辺自治体と広域連携することが有効な手段であります。

静岡県東部地域の5市4町で組織する「東部広域都市づくり研究会」が、大規模合併による政令指定都市への移行を目指していましたが、意見がまとまらず2008年2月に解散した経緯があり、広域連携が難しい地域でもあります。

地域の魅力を引き出し活性化させることで持続的な社会を創ることが地方自治体の役割であり、地域の人口を増やすことに固執しすぎると「魅力的なまちづくり」という本来の目的からはずれる可能性があります。

地域で生まれ育った若者が、どれだけ地域に残るのか、または一旦出た若者が戻りやすい地域をつくるためには、広域的な連携を活用した魅力的な地域づくりが必要です。

また、人口減少や高齢化が課題となる地域では、地域づくりの担い手として関係人口が活躍することが期待されています。

関係人口は観光以上移住未満と例えられたりします。

アクセス良好な風光明媚エリアの静岡県東部地域。

都市部と地方圏の2つの地域に居住拠点を持ち、それぞれの地域で生活を行うというライフスタイルである二地域居住(関係人口)を増やすには最良な地域です。

観光客を関係人口の候補者として捉え直し、関係人口の創出・拡大に向けて、受け手(地域)・関係人口がスムーズにつながれるように、子育て支援や雇用環境など、子育てに取り組みやすい環境を整備することも重要です。

来年1月開催の公開セミナーでは、静岡県東部地域の移住、定住、観光等の取り組みを共有し、広域連携という手法を取り入れることで、人口減少を克服するために地方自治体と企業が今後取るべき針路について基調講演、パネルディスカッション等で議論を深める予定です。

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