9月例会
講演
企業を取り巻く今後の経営環境
野村證券株式会社 投資情報部長 東英憲
経営委員会大石様のご紹介により野村證券株式会社投資情報部長の東英憲様より「企業を取り巻く今後の経営環境」というテーマでご講演をいただきました。長らく続いたデフレの時代からインフレの時代へと突入し、経営者としてどのように対処していくべきかのヒントにしていただくために経営委員会では今回の講演を企画いたしました。
講演を聞いて印象に残った点を箇条書きにすると。
・新興国は「蛙飛び現象」により経済発展のスピードが速く、今後も新興国が世界経済の成長をけん引していく。グローバルの視点を持てばまだまだ成長の余地はある。
・日本の経営者はデフレが長らく続いたので、良い商品をいかに安く提供するのには慣れているが、価格を上げることには慣れていない。インフレの時代にはいかに値上げをしていくか(付加価値をつけていくか)を考えていかなければならない
・インバウンドの訪日外国人の平均消費額がコロナ前に比べて増加している。訪日外国人約7人で日本人1人の年間消費額に匹敵するため、インバウンドの需要を取り込むことにビジネスチャンスがある。
・人口減少の日本において企業が永続的に成長するための施策としては①新規事業に取り組む②独自技術を磨く③淘汰を生き残る④出資・投資をする。中小企業においてもM&Aが盛んにおこなわれるようになっており、会社の「お金に働いてもらう」という発想を持つことが重要である。
・為替相場は金利差だけで生ずるものではなく、景気動向、対外収支、資金供給量、購買力平価、政治動向など様々な要因が反映される。為替相場の動向を予想するのはプロでも困難である。
・米国株式の強さの秘訣は米国の人口が増加し続けていることが大きな要因である。そして若年層への投資が積極的に行われており、GAFAに代表されるような勢いのある新しい企業が生まれてくる。
・宇宙ビジネスには無限の可能性が広がっている。宇宙といっても地上1000㎞の低軌道に人口衛星を打ち上げ宇宙におけるデータセンターの設置が増えている。宇宙関連ビジネスに商機が見込まれる。
講演全体を通じて東様のテンポのよい口調でぐいぐいと話しに引き込まれ、あっという間に時間が過ぎました。上記に挙げた中でも私は2点目のいかに価格を上げていくかということについてとても印象に残りました。私の業界(税理士業界)は世間の景気動向に大きく左右されることが少ない反面、何かがヒットし大儲けできるということがない業界です。しかし、このインフレの時代人件費をはじめコストは確実に増えています。どのように付加価値をつけて収益を上げていくか考えさせられる講演となりました。
経営委員会 原山 裕継