4月定期会員総会・記念講演

2025年度4月定期会員総会・記念講演      

■日時/令和7年4月9日(水)  

■場所/みしまプラザホテル

■演題/「最近の金融経済の動向について」

■講師/日本銀行静岡支店長 蒲地 久司氏 

定期会員総会

【定期会員総会】

工藤代表幹事を議長とし、名取常任幹事より2024年度事業報告ならびに収支決算報告がなされ、三井新代表幹事より2025年度幹事と事業計画が発表され、常任幹事の植松より同年収支予算案について説明しました。いずれの議案も、慎重審議を経て承認されました。

記念講演

【記念講演会】

講師の蒲地氏は福岡県出身の55才で、91年日本銀行に入行後、21年下関支店長、22年金融機構上席考査役を歴任し、24年5月静岡支店長に就任されました。

今回は「最近の金融経済の動向について」と題しまして、ご講演をいただきました。講演内容の要点は次の通りです。

  1. 日本銀行の役割

  ・我が国で唯一の中央銀行で日本銀行法に基づき設立され行員は公務員ではない

 ・日銀の使命は人々が安心してお金を使えるようにする→「国民経済の健全な発展」

 ・業務は金融政策の立案・執行や中央銀行業務(発券銀行、銀行の銀行、政府の銀行)等

・金融政策は9人構成の政策委員会により年8回開催される金融政策決定会合にて決定

2.海外経済

 ・「総じてみれば緩やかに成長」だがトランプ関税政策の影響で下振れの可能性あり

 ・中国は不動産・労働市場調整しているが4.5%の成長率を維持している。

 ・米国は個人消費が好調だが関税政策の影響が不透明

 ・欧州はドイツをはじめ環境規制の影響から自動車産業が低迷

3.国内経済

 ・GDPは緩やかに成長しているが物価上昇の影響で実質成長は限定的

 ・実質雇用者所得がプラスに転じサラリーマンや勤労者の所得が増加している

 ・企業の収益が好調に推移しており設備投資が絶好調

・過去3年間の物価上昇率の累計8.4%に対しパートの時給は8.8%まで上昇

4.金融政策

 ・名目金利をプラスにして実質金利をゼロに近づけることを目指している

 ・金利上昇は企業・個人とも影響があるが個人は預金金利の上昇でバランスが取れる

 ・年齢別にみると若年層は負債が多く高齢者ほど貯蓄が増える傾向

5.その他(静岡県経済・金融経済教育など)

 ・静岡県は製造業の比率が高く米国の関税政策の影響を受けている

 ・ハンバーグや餃子の消費量は全国トップ

 ・金融リテラシー(知識や判断力)を養うためにも教育は必要

 今回はトランプ政権の追加関税が発表された直後で、先行き不透明な状況のなかの講演とあって大変発言に苦慮されている様子が伺えました。日銀としての見解は5月1日発表の「展望レポート」に注目していただきたいとのことです。

常任幹事 植松 正