
5月例会
2025年5月14日(水) みしまプラザホテル
代表幹事挨拶

委員会報告




その他報告


講演
日本経済の現状と展望
講師:株式会社ニッセイ基礎研究所 経済調査部長 斎藤 太郎
講師プロフィール
- 1992年 日本生命保険相互会社入社
- 1996年 (株)ニッセイ基礎研究所、2019年より現職
- 2012年から神奈川大学非常勤講師(日本経済論)を兼務
- 優秀フォーキャスターに10回選出

斎藤氏の講演は、まず日曜討論出演の裏話として、事前の打ち合わせがほとんどないこと、出演後の周囲の反響、そして謝礼の仕組みなどが語られた。
トランプ大統領による経済政策の影響
日本経済の現状と展望について、トランプ大統領の経済政策が与える影響を考慮する必要性を強調。米中交渉の進展により、講演内容の調整を余儀なくされた状況についても説明された。
米国経済への影響
関税引き上げによる世界経済への影響
下方修正される世界経済見通し
日本の経済分析においては、トランプ大統領の経済政策が重要な影響要因として挙げられ、大規模減税、関税引き上げ、不法移民の強制送還、規制緩和の4つの柱となる政策が、それぞれ日本を含む世界経済に与える影響について詳細な解説がなされた。トランプ大統領の経済政策として、大規模減税、関税引き上げ、不法移民強制送還、規制緩和の4つを挙げ、それぞれの政策が経済成長率とインフレ率に与える影響を詳細に分析。特に、関税引き上げと不法移民強制送還がインフレを加速させる要因となると指摘された。
全輸入品に10%の関税をかけた場合のアメリカのGDP成長率とインフレ率への具体的な影響を説明された。また、貿易赤字に対するトランプ大統領の考え方を批判し、貿易赤字は必ずしも悪いものではなく、むしろ国内消費を支える役割があると主張した。
日本経済の見通し
コロナ禍以降の日本経済の動向
日本のGDP成長率がアメリカやユーロ圏に比べて低い原因として、個人消費の弱さを指摘された。トランプ政権の政策による輸出への悪影響を示唆し、今後は国内需要に注目すべきであると述べる。
賃上げ、個人消費、設備投資の動向
春闘での賃上げ率が5%台と高い水準であるものの、物価上昇の影響で実質賃金はまだプラスに転じていない。しかし、物価上昇率が落ち着けば、今年の夏以降には実質賃金がプラスに定着すると予測された。家計の可処分所得が増加に転じている要因として、賃上げに加え、配当や利子の増加をあげた。減税を行うのであれば、一時的な減税ではなく、恒久的な減税が必要であると主張し、消費税減税の時限措置には意味がないとした。設備投資は、これまでは企業の収益が好調だったため活発であったものの、今後はトランプ政権の政策による収益悪化により、企業が慎重になる可能性を示唆。
消費者物価の見通し
食料品の値上がりが行き過ぎているとし、また、サービス価格の上昇がこれから始まる可能性を示す。しかし、原油価格や為替相場の変動により、全体としては物価上昇率が徐々に落ち着くと予測している。2025年度の日本経済成長率を0.1%と予測していたが、米中関係の改善を受けて0.3%に上方修正する可能性を示唆。しかし、日本経済は外部要因によってマイナス成長になりやすい状況にあると指摘し、楽観視はできないと述べた。